【コラム】イラク戦以降にカギを握る“新戦力”

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08
09月
2012

■パスのスピードと自身の動きのスピードで、試合を操る遠藤

6日に行われたキリンチャンレンジカップ・日本対UAE戦。スターティングメンバーのボランチの位置には、いつもの2人、長谷部誠と遠藤保仁の名前があった。

試合が開始されると、遠藤はいつものように冷静にゲームに入り、かつ予想以上に素早いUAEのプレッシャーに無難に対処していた。また終始試合のリズムを作り、試合序盤に慌てしまった日本を落ち着かせた。日本の心臓と呼ばれる所以(ゆえん)である。

彼は試合のスピードを、パスのスピードと自分自身の動きのスピードを調節することによって、チームの攻撃の流れを創っている。一見目立たないプレーであるが、これができるのは世界中探してもなかなか見つからないと専門家は口を揃える。

 

■“試合勘の問題”で済みそうにない長谷部

一方の長谷部はというと、本来の能力を披露していたとはいえない。

所属チーム(ヴォルフスブルク)で試合に出場できていない影響か、試合の流れを上手く掴むことが出来なかった。前半開始から中盤までは相手の攻撃の起点を潰し、パスカットでボールを奪うなど守備面で一定の貢献が見られたものの、自らのミスでボールを奪われる場面も何度かあった。また、日本がボールを奪い守備から攻撃に切り替わる際、ボランチにボールが渡り周りの選手が動き始めるのであるが、今回の長谷部の場合、一瞬の判断が遅れることによって、パスコースを限定されてしまい、前線への効果的なパスを繋ぐことができなかった。つまり、遠藤が見せたチームの攻撃のスイッチを入れることができなかったのだ。

これはもちろん試合勘の問題だけではなく、周りとのコンビネーションの問題でもあるが、ほぼ決まったメンバーの中で起こってしまったのは、調子が悪かっただけでは済む問題ではないだろう。

事実、ザッケローニ監督は試合前「長谷部を90分間使う」と宣言していたにもかかわらず、前半のみで長谷部をベンチに下げた。監督が求めるプレーを体現できなかった証拠である。

 

■あくまでも及第点の細貝

その長谷部に代わり、後半からは細貝が登場した。その細貝もまた、遠藤と比べるとあくまで及第点のレベルであった。細貝は献身的に守備をこなしていたが、プレーに積極生、攻撃性が感じられなかった。いわゆる無難なプレーになってしまっていたのだ。ゴール前でボールを奪取するプレーから攻撃に直接つながるプレーがなく、自身のディフェンスからの攻撃参加も見られなかった。時にはリスクを犯すプレーを選択し、攻撃への厚みを加えるプレーも必要であろう。

 

■新戦力発掘の時期

ザッケローニ監督は新顔を入れるタイミングではないと判断しているが、ボランチでは高齢化が進んでおり、2014年に開催されるブラジルW杯で現在不動のボランチとなっている遠藤は34歳、長谷部は30歳と年齢的にもプレーの質が最高の状態を保っているとは考えにくい。イラク戦も遠藤、長谷部の2人がスターティングメンバーなのは、過去の例から考えてもほぼ間違いないだろう。しかしながら、そろそろボランチの新しい戦力を試す機会を設けてもいいのではないだろうか?

現代表の細貝、高橋に加え、ロンドン五輪でも活躍した山口、扇原など新戦力となり得る人材は多い。今年の欧州遠征は「世界に通用する新しい人材」を試すには絶好の機会であり、ザックジャパンにとっても大きな起点となる遠征になるだろう。

「キャプテンに必要なすべての要素を兼ね備えている」とザッケローニ監督に全幅の信頼を寄せる不動のキャプテン長谷部を脅かす新戦力が出てくることが、日本のレベルアップにつながるのであろう。

10月の欧州遠征のメンバー発表に注目したい。

 

(さわだ ゆうき)

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  • date:2012/09/08 19:31