【コラム】特別指定制度は個人の成長の裏に大きな代償が

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02
12月
2013

阪南大学イレブン
写真:阪南大学イレブン)

日本サッカー協会がユース世代のサッカー選手に対して、所属クラブ・連盟の枠を超えて高いレベルでのプレー機会を与える特別指定選手制度。昨年の関西学生サッカーリーグ覇者・阪南大学はこの制度に今シーズン苦しまされた。

阪南大サッカー部は今年の夏、FW工藤光輝(コンサドーレ札幌)、FW泉澤仁(大宮アルディージャ)、MF可児壮隆(川崎フロンターレ)、DF二見宏志(ベガルタ仙台)の計4選手を特別指定選手として、Jリーグの各クラブに送り込んだ。
夏が終わり、4選手はJリーグから大学に戻ってきた。選手たちはJリーグでの試合や練習を経験し、大きく成長して戻ってきたが、コンデションは最悪だった。
工藤は、関西より比較的に涼しい札幌の気候で夏を過ごしたことにより、大阪に戻ると暑さに対応できず、苦しんだ。また他の選手も体力が少し落ちた状態でチームに合流し、ケガに悩まされる選手も出た。阪南大を率いる須佐監督はこの状況に悩まされていた。チーム作りを行う時間が少なく、チームのバランスが崩れていた。

元々選手育成のために作られた制度ではあるが、1チームから多くの選手が抜けることによって、主力選手がいない状態で、リーグ戦や公式戦を戦わなければいけないチームが出てくる。学生生活の中のスポーツという枠を超えているとして、この制度を利用しない大学や高校も実際に出ている。選手に対して早い段階でオファーなどがあっても、学生サッカーを引退するまで選手への接触を禁止にしている学校もある。

選手たちは特別指定選手としてJリーグのクラブに加入し、その後所属チームに戻った際に「レベルの違いを感じた」と口を揃える。特別指定選手を経験し、その際にプロのリズムを体感した選手が次の年に、Jリーグのクラブで即戦力として活躍するケースは多い。高校や大学といった学生サッカーから、特別指定選手を経験せずにJリーグのクラブに加入した選手は、練習やオフなど、周りの生活習慣になれるまでかなり時間がかかるケースもあり、特別指定選手制度がいい方向に働く部分もある。

来年以降も多くの選手が特別指定選手として、Jリーグのクラブへ加入することが予想されるが、大学や高校の監督はオファーが届いた際に頭を悩まされることになるかもしれない。

(文・澤田ゆうき)

 

 

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