片山博義氏インタビュー第2弾「データサッカーが起こしたジャイアントキリング」

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12
12月
2016

FSVフランクフルト下部組織での指導経験を持ち、2008年にドイツから日本へ帰国した片山博義氏。日本に帰国後は鹿屋体育大などで指導した後、FC KAGOSHIMA(現:鹿児島ユナイテッドFC)、松江シティFCなどでチームの指揮を執った。松江を率いた2015年には日本代表選手を擁する川崎フロンターレを相手に善戦を見せる采配を見せ、データサッカーの真髄を見せた。片山氏へのインタビュー企画第2弾となる今回は、片山氏のメソッドについてを追求した。  −2008年にドイツから帰国されてまず取り組まれたことは?
片山氏:日本に帰ってきて、まずは茨城県立牛久栄進高等学校のコーチにつくことになりました。現在松本山雅FCでプレーしている、高崎寛之選手のお兄さんが指揮を執っていて、自分は補佐役としてチームを支えました。そこで「日本の指導法にはまだまだ足りない部分が多い」と感じました。その後またドイツからオファーがあって1年間ドイツで指導しました。 

 

−その後1年でまた帰国することになる。
片山氏:毎年1月に高崎を筆頭に何選手かのJリーグ選手を集めて、Jリーグクラブのなかった地域で自主練習を行い、子どもたちがプロサッカー選手と触れ合える場所を作っていました。そして鹿児島でその活動をおこなっている際に、当時鹿屋体育大の監督を務めていた井上尚武さんに声をかけていただいて、鹿屋体育大でヘッドコーチ職に就きました。振り返ってみるとこれは大きなチャンスのひとつだったと思います。 

 

−大きなチャンスのひとつだった?
片山氏:鹿屋体育大では、Jリーグでも活躍する選手たちの指導をすることもできて、多くの経験ができました。自分がドイツで学んだことを、選手に落とし込むと、劇的に変化した選手もいました。ここでの実績を買っていただき、FC KAGOSHIMAの監督のオファーをいただきました。初めて監督業を務めることになりましたが、経験してきたことを生かして、自分が目指すデータサッカーの完成版を作ろうと意気込んで挑みました。 

 

−昔からデータを見るのが好きだった?
片山氏:昔からデータを利用することは好きでしたが、そればっかりになってしまって頭でっかちになってしまってもいけないので、そこはうまくバランスをとっていました。 自分のサッカーはまずピッチ全体を16分割して考えます。そこから次はさらに分割して、縦を8分割、横を4分割した32分割でピッチを見て、その分割されたブロックにあった練習を取り入れていきます。その後全体練習では、個々のブロックで落とし込まれたものを集合させて、このブロックにボールが来たらこういう対処をするなど、選手たちが動きやすい形を作っていきました。 

 

−松江シティの監督を務めていた際、天皇杯で鹿児島ユナイテッドFCを相手にジャイアントキリングを起こされていますが、勝つ自信はあった?
片山氏:ありました。100%勝てると思っていました。今だから言えますが、試合の1ヶ月前から鹿児島を徹底マークして、セットプレーの種類や選手の特徴、攻撃のパターンなどを選手たちに落とし込みました。鹿児島ユナイテッドはFC KAGOSHIMAとヴォルカ鹿児島が合併してできたチームなので知っている選手たちも多く、データ量が多かったです。細部の部分まで調べ上げることができており、あの試合は完全に『はまった』と感じることができました。 

 

−試合後にプランがはまったと感じましたか?
片山氏:選手たちも試合後は、はまったと感じた部分は大きかったと思います。鹿児島戦はベストゲームだったと思いますし、続く川崎フロンターレ戦では、実力差はありましたが、やりたいサッカーを見せることができたと思います。選手たちも「片さんが行かなくていいと言うところはいかなくていいし、危険だというところは潰しにいく」と信頼を寄せてくれていた。それが結果に結びついたと思います。 

 

−川崎戦では学ぶことも多かった?
片山氏:川崎戦はチームでは戦えたが、個の力で敗れてしまいました。前半23分ぐらいまではシュート0に抑えることができていたが、1本のシュートで流れを変えられてしまいました。地域リーグで戦っているときよりも、J1になるとバイタルエリアが5メートル広かったです。そのエリアでノープレッシャーで仕事をさせてしまうと、J1の選手たちはしっかりと結果を出してくると学ばせていただきました。ガチで戦ったときのJ1のバイタルエリアの広さという部分では誤算だったが、新たにデータを収集することができました。 

 

−片山氏の目指すサッカーとは?
片山氏:99%攻撃のサッカーです。日本で指導をする際に守備という言葉がある以上、ディフェンスも考えていかなければいけないですが、選手たちには守備をさせられているというイメージをつかせないような指導をしています。ボールを奪うという攻撃の技を使いながら守備をさせているので、99%攻撃のサッカーと言わせていただいております。自分たちがボールを保持しているときもゴールを奪うという攻撃スタイルですし、ボールをもっていないときはボールを奪いに行くという攻撃スタイルで戦っています。唯一守備をしなければいけないのは、GKが自分のゴールマウスを守らなければいけないときです。 

 

 次回の第3弾では片山氏の99%攻撃サッカーについて追求します。 

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  • date:2016/12/12 11:09