【コラム】天国と地獄~俺達のJリーグ~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

19
04月
2012

soccerchiiki

いよいよ今年もJリーグが開幕した。とうとう20周年を迎えて、レギュレーションに大きな変化があったことに、まだ戸惑いを感じる季節ではある。しかし決して目を背けることはできない。

昨シーズンまでは、J2に降格制度がなかった為、リーグ終盤に昇格の望みがなくなった多くのクラブ同士の試合には、なかなか魅力を見い出せなかったのだが、今シーズンよりいよいよJ2とJFLで入れ替えが実施されることになった。ただし、JFLからJ2へ昇格するには、3つの条件をクリアする必要がある。まずは『①Jリーグ準加盟クラブになっている』、続いて『②J2ライセンスが付与されている』最後に『③JFLで2位以内に入る』。

ただ①については審査が厳しく、現在のところはカマタマーレ讃岐、V・ファーレン長崎の2クラブしかクリアできていない。しかし現在(4月20日時点)讃岐はJFL首位を走り、長崎も4位と上位にいる。

上記のようにJFLクラブがJ2へ昇格するには条件があり、J2との入れ替えには4つのパターンが生まれるので、おさらいをしておきたい。

(1)【J2ライセンスを付与された準加盟クラブが、JFLの1位・2位だった場合】
・J2の22位がJFLへ自動降格。
・JFL1位がJ2へ自動昇格。
・J2の21位と、JFL2位で入れ替え戦。

(2)【J2ライセンスを付与された準加盟クラブが、JFLの1位のみだった場合】
・J2の22位がJFLへ自動降格。
・JFL1位がJ2へ自動昇格。
・J2の21位は残留。

(3)【J2ライセンスを付与された準加盟クラブが、JFLの2位のみだった場合】
・J2の22位と、JFL2位で入れ替え戦。
・J2の21位は残留。

(4)【J2ライセンスを付与された準加盟クラブが、JFL2位以内に入らなかった場合】
・入れ替えはなし。

このような仕組みになっている。しかしこうして見ると、J2の22位は最低でも入れ替え戦は経験する可能性が高いと感じる。サポーターは自分が応援するクラブが20位以上でなければ落ち着かないだろうが、私はこの『20位以上争い』が今年のJ2を盛り上げてくれると期待している。

それにしてもこの『入れ替え戦』という響きは懐かしくも思うが、最近のことのようにも感じる。J1とJ2の入れ替え戦は、08年に廃止されたのだが、最後となった08年12月13日がいつまでも忘れられずにいるからだろうか。

この日は、ホーム&アウェイで行われる入れ替え戦の第2戦。対戦するのはJ1で16位となったホームのジュビロ磐田と、J2で3位となったベガルタ仙台。第1戦は仙台のホームで行われ、1-1の同点。第2戦で勝利したクラブが文句なしでJ1の切符を手にする。

磐田は第1戦でもゴールをあげた、松浦拓弥がこの試合でも躍動する。41分と70分で、2得点をあげた。松浦はそれまでリーグ戦で通算1ゴールのみだったのだが、入れ替え戦で2試合3ゴールと大爆発。

仙台も諦めることなく、試合終了間際に梁勇基のゴールで1点を返したが、試合はそのまま終了した。03年にJ1からの降格が決まり、04年からJ2で5年過ごしていた仙台のこのシーズンは、C大阪との激しい3位争いで入れ替え戦の権利をつかみ取っただけに、その分この入れ替え戦での敗戦は絶望感が大きかった。

しかし、なんと仙台のサポーターは、磐田の選手に大きな拍手をしたのだった。それに対して磐田サポーターが『ベガルタ仙台』コール。この両サポーターの光景がいつまでも忘れられずにいる。

そしてそれにあわせ、この試合の実況をしていた倉敷保雄アナウンサーが、この光景を見て話した言葉も忘れられない。

『自分たちのJリーグっていうものは、これでいいんじゃないかと思います。
誰もが来て楽しい、ファミリーで来て楽しい、子供たちと一緒に来られるJリーグ。
もちろん1戦1戦はタフな真剣勝負だと思うし、そういうところから世界を目指していくというのが僕らの国のサッカーだと思いますがだけど、Jリーグの中でかたっぽが勝ち、かたっぽが敗れるということがあったとしても、全力を尽くして戦った後に心を通わせる光景があるスタジアムを、いつも期待したいと思います』

今シーズン、またしても入れ替え戦が行われる可能性があり、この08年12月13日を思い出した方々も多いだろう。『Jリーグの温かさ』、『勝負の厳しさ』そんな2つを教えられた試合である。また今シーズンのJ1ではその仙台と磐田が、現在のところ上位争いをしているのも感慨深い。

今年入れ替え戦がある場合は、第1戦が11月23日(金)で、第2戦は12月2日(日)。

『温かいが厳しい』そんなJリーグを、そんなJ2を、今年は例年以上に期待したい。

【金谷元気】
1984年生まれ。好きなリーグは、J2と地域リーグ。

過去のコラム
大阪と、東京と、ダービーと杉本健勇
巻誠一郎、特別な想いを胸にしまって

関連記事

「コラム」カテゴリの最新記事

こんな話題も

  • date:2012/04/19 21:20