【コラム】巻誠一郎、特別な想いを胸にしまって

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

21
11月
2011

アウェーのゴール裏にいるジェフ千葉のサポーターが、相手チームの先制ゴールに歓声をあげている。記者席の近くにいたジェフサポーターはそのゴールを決めた選手にブーイングをあびせようと、手を前にのばして指を出しているが、あきらかに泣いている。

どうしてなのだろうか?

11月20日、味の素スタジアムにて行われたJ2第36節、東京ヴェルディ対ジェフユナイテッド千葉。J2も終盤に差し掛かり、前日までに両チームに昇格の可能性は消滅していた。それでも1万人を超える観衆。ホームチームであるマッチデープログラムの表紙は、現在のコンディションや対戦相手を考えると、もちろんあの選手。

そう、「生涯ジェフ」を宣言しながらも、2010年途中で実質的にジェフから戦力外とされ、海外2クラブを経て、約3か月前に東京Vへ加入した巻誠一郎だ。

巻はもちろん、中西永輔、阿部勇樹、坂本將貴らジェフサポーターから愛された選手たちが何人かいる。それでも誰よりもジェフを愛していたのは巻誠一郎だと言っても過言ではない。その愛情をジェフサポーターは受け止め、何度もいっしょに泣いた過去があるのだ。

それでも今日は敵同士。緑のユニホームを着た巻が先発でピッチに立っている。(実は9月にもこのカードがあったが、移籍加入間もなかった巻は後半44分からの出場だったため、ほとんどプレーしていない。選手紹介ではジェフサポーターからコールが起こった。)

巻が先発したこの試合は前半にスコアが動かず、迎えた後半16分。東京Vが相手ゴール前で混戦となり、こぼれ球を高橋祥平が頭でつなぎ、巻が滑り込んで合わせゴール。ジェフ時代に何度も見せたような魂のゴール。これでここ5試合で3ゴールと好調とはいえ、こんな巻らしいゴールは久しぶりだった。

冒頭部分はもちろんこのゴールシーンだ。応援するチームが先制されたのだから、中には歓声があがることが頭にくるサポーターもいただろうが、それもこのゴールが『特別』であることを示している。

この1点を守り切った東京Vは1-0で勝利し、6位浮上。そしてジェフは7位に転落した。東京Vサポーターからはもちろん、ジェフサポーターからも『巻コール』が起こり、なかなか鳴りやまなかった。

試合後に巻は語っている。「特別な想いのあるゲームで、自分で試合を決めれたことは特別な想いがある。」

そして「(東京Vの)サポーターに応援したいと思ってもらえる試合をしたい。」と締めくくった。

巻誠一郎は、愛する「黄色」への特別な想いを胸にしまいこんで、これからも全力で「緑」のためにピッチを駆け回る。

(コラム:金谷元気)

 

(PR)ヤンマースタジアム長居周辺。予約駐車場

関連記事

「コラム」カテゴリの最新記事

こんな話題も

  • date:2011/11/21 0:05